兜町10%倶楽部 - 杉村富生

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兜町10%倶楽部


人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。


Vol.54 そろそろ出た?株式相場をけん引する強力な買い手

2008年4月28日更新
日本は今週からGWに突入します。とはいっても、以前のように民族の大移動的な動きは少なくなりました。

ところで、世界の金融市場に吹き荒れていた春の嵐ですが、そろそろ強風も収まりつつあるようです。ゴールドマン・サックスのブランクファインCEOが、「サブプライムローン・ショックは峠を越えた」と語ったことからもわかるとおり、ほっと一息というところでしょうか。
欧米の金融資本の中で唯一無傷だったゴールドマン・サックスのCEOの発言です。実際、ゴールドマン・サックスはここにきてRMBS(住宅ローン担保証券)やCDO(合成債務証券)などレベルⅢ資産を964億ドル(約9兆7000万円)買い増したといわれています。この発言と今後の行動には目が離せません。

これをうけたのかどうか、今回の金融危機で大きなダメージをうけた、シティグループとみずほFGの株価が急騰しています。
シティグループの株価の下落率は67%、みずほFGが60%でしたが、ここにきてシティグループが30%強、みずほFGがやはり30%強の急騰劇を演じています。

みずほFGは、3月期決算の業績の下方修正の発表をした4月11日を境に猛反撃に転じています。しかも、その出来高が4月11日が26万5870株、14日が30万8730株、15日が31万3360株、16日が29万400株とものすごく多いのです。 市場関係者は「売り方の買い戻しではないか」というコメントを発表していますが、5日間で累計153万株となり、単なる買い戻しだけではこれだけの出来高は考えられません。ちなみに、50円額面に換算すると15億3000万株の商いを記録したことになります。

私はこの動きから、強力な買い手が参戦したのではないかと考えています。みずほFGの場合は、サブプライムローン関連で、外貨建の証券化商品の情報開示をおこないました。みずほ証券の保有残高は4700億円から1000億円と激減していますが、実現損の計上を行ったということが評価されたのだろうと思うのです。隠さずに損を計上したので、2009年度決算がV字回復の可能性がでてきました。これが高評価につながったのでしょう。

買い手は誰なのでしょうか。考えられるのは、中東系のSWF(政府系ファンド)だと思われます。SWFの資産総額は4兆ドルといわれていますが、7年後には12兆ドルに膨らむと予想されています。年間100兆円単位で増える計算です。
彼らにとっては、金融危機で株価が低迷している時期は大量に購入するチャンスです。

みずほFGだけではありません。
新日鉄も2009年3月期決算が原材料の高騰などにより減益になる見通しですが、その発表があった日に株価が上昇しています。株式市場は好材料には素直に反応しますし、悪材料の発表も「出尽くした」と取らえるようになっています。
この市場センチメントを敏感に察知してSWFが動き始めているのだろうと思います。彼らが次に狙うのが、トヨタや三菱商事などの主軸株式でしょう。

穏やかな陽気で気分ゆったりもいいですが、今年後半戦に備えるためにちょっと世界に目を転じてみましょう。実際に海外旅行できればいいですが、別にいかなくてもテレビや新聞、インターネットなど海外の情報を得る方法はいくらでもあります。
この休みの1日を勉強にあててはいかがですか?



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杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員

1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。

■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数

■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他

■その他活動内容
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