人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。
Vol.57 原材料高騰でスタグフレーションの不安?
2008年5月19日更新
3月期決算の上場企業の決算発表はほぼヤマ場を越えました。2007年度は軒並み上ぶれしての着地でしたが、今年度はかなり厳しい決算予想を出している企業が多くなっています。
なにしろ、原油、資源、穀物など原材料が全て大幅な値上がりをしています。
特に、原油価格は、主要指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は、1バレル=127ドルまで上昇しました。2007年の平均値が72ドルでしたので、実に76.4%もの大幅な値上がりです。
どうしてこれほど値上がりをしているのでしょうか。大きな要因としては、投機資金の流入です。株価低迷で投資先のない大量の資金は原油、金、穀物などの商品相場に怒濤のごとく流れこんでいます。原油に関していえば、イランの核開発問題やナイジェリア情勢の緊迫化といった地政学上のリスク拡大もあります。
これらの情勢からゴールドマン・サックスは「原油価格が2年以内に200ドルまで上昇する可能性がある」という予測を発表しています。もしこれが現実となったなら、世界経済はかなりのダメージを被ることになります。
現代社会は石油を抜きにしては成立しません。特に、アメリカは車社会なので公共交通が整備されているとはいえず、多くの人が車に頼らざるをえません。原油高騰はガソリン代の支払いに直結し、各家庭の家計を直撃します。ガソリン代の割合が増えれば、当然他の消費を削らざるを得ないことになります。
これは日本でも同じことがいえます。
日本の場合はガソリン税の問題で、4月に1リットル120円台まで下がったガソリンが、5月になり160円前後まで上がっています。この影響でしょうか、GW期間中は郊外型のレストランの入りが今一つだったという結果になっています。
しかも、原油をはじめとした原材料の高騰で、消費者物価もじりじり上がっています。しかし、企業は原材料高を完全に価格に転嫁できる状況ではなく、業績悪化が懸念されます。このままでは収入は増えないのに、物価だけがあがるスタグフレーション(不況下のインフレ現象)が起こる可能性も出てきます。
株式市場は波乱の様相となっています。日経平均株価はGW明けから順調な戻り相場となってきて、「流れが変わった」と強気の発言が多くなっています。しかし、いたずらに強気になっていては勝負には勝てません。
何度も私が言っている通り、今年は基本的には逆張り(押し目買い)作戦が有効です。人の裏をゆく徹底した“寝盗み(ねずみ)”戦略を続け、利食いをしてキャッシュポジションを高めていく作戦が功を奏するのです。
若いときの苦労は買ってでもせよ、といいますが、年を取ってからあえて苦労する必要はありません。
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杉村富生 著書紹介
杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員
1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。
■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数
■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他
■その他活動内容
銘柄情報メールマガジン「
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