人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。
Vol.58 相場師の言葉に学ぶ相場の哲学
2008年5月26日更新
兜町の格言に「頭とシッポはくれてやれ」というのがあります。底値で買っててっぺんで売りたいというのは人情ですが、それをやらずにほどほどのところで売買をしなさいという意味です。分ってはいても、欲に負けて素っ高値やドン安値を追ってしまうのが人間です。
この格言を忠実に実践したのが鈴木四郎さん。明治物産の創業者であり、東京穀物商品取引所の第4代理事長を務めた方です。
鈴木さんは、次のような言葉を残しています。
「プロはね、相場が真っ赤に燃え上がる寸前にそれが見えるんですよ。しかし、その時に灰になっていなければダメなんです」
この意味するところは、燃え盛る炎(熱狂相場)に突進していくのが素人で、静かに売り抜けるのがプロということでしょうか。
年初の株価低迷が少しずつ脱してきています。5月14日にはNTTや日本写真印刷が、15日にはソニーがストップ高になりました。この反騰劇は先物を使った買い仕掛けとみられており、信用顧客や個人はほとんど参加していません。
しかし、こういう状況が続くといずれは個人が参戦してくるでしょう。なにしろ、株価低迷ですっかり相場から気持ちが離れていた投資家が、昨今の回復に持たざるリスクに脅えている状態です。どうも焦りを感じ始めているようです。がんがん強気に転じるのは時間の問題のような気がします。
しかし、ちょっと待ってください。国際マネーは「裁定」を基本としています。つまり割高なものを売って、割安なものを買うという方法です。オルタナティブ投資、ロング&ショート戦略、アービトラージ、株式ニュートラル戦略など呼び方や対象商品は様々ですが、基本形は同じものです。
何度も言っていますが、日本株の予想PER(株価収益率)は他の国に比べて突出して高くなっています。仮に日経平均株価が1万5000円まで上昇したとすると、PERは17.9倍となります。欧米先進国の予想PERは11倍から14倍です。国際的にみると日本株は割高になっています。このまま上昇すると、売り仕掛けを招きかねません。
高値圏では、理性が必要となります。ファンダメンタルズのチェックを行い、相場の性格、水準、方向によって投資方針を変えるとともに、キャッシュポジションを高くしておく必要があります。
株価ボードを眺めては、値上がりを示す赤と値下がりを示す青という色に一喜一憂し、相場観をころころかえるカメレオン投資家は絶対に儲からないのです。とにかく安値圏では、資力、気力、胆力という「投資の3力」をしっかり持っていることが大切ですが、高値圏で必要なのは、知性と理性なのです。
素人は相場が燃え盛っていると、どうしても突っ込んでいきたくなります。しかし、ここは冷静にプロの判断で相場状況をしっかり把握しておくことが肝要である、やけどをしない秘訣です。
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杉村富生 著書紹介
杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員
1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。
■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数
■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他
■その他活動内容
銘柄情報メールマガジン「
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