人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。
Vol.72 オリンピック後の中国経済が怖い
2008年9月1日更新
今日から9月、1年の後半に突入しました。オリンピックが行われたために、8月があっという間にすぎてしまい、気づいたら秋風という具合です。
それにしても、世界新記録ラッシュの大会でした。特にジャマイカのボルト選手は、100メートル走は9秒69の世界新記録です。身長1メートル96センチ、平均歩幅が2メートル60センチと、身長より長い歩幅でかけぬけます。足の短い日本人は逆立ちしても追いつきません。つまり、同じ競技で競ってはいけない相手ということです。
ところで、オリンピックの開催は経済発展の象徴のようなものです。かつて日本も東京オリンピックの開催で、戦後復興を世界にアピールすることができました。ソウルオリンピックもそうでした。中国にしても、このところの経済発展があったればこそ開催できたわけです。開会式、閉会式でのこれでもかという、花火とアトラクション。火薬がたくさんあることを世界にしめしました。それがどんな効果をもたらしたかについては、コメントは差し控えましょう。
ところで、東京オリンピック後もソウルでもそうでしたが、開催した年のGDPは2桁なのですが、翌年にはほぼ半分になっています。中国にしても、オリンピック後の中国経済は気になるところです。
上海総合株価指数は昨年10月16日の6092.189ポイントを高値に、ことし8月18日には2319.868ポイントの安値を付けました。下落率は実に61.9%です。市場関係者は「上げすぎの反動」と解説していますが、マーケットは五輪後の中国経済になんらかの危惧を感じていることの表れだとおもいます。もちろん、日本と違って中国政府は、株価に高い関心をもっていますので、そのまま放置することは絶対になく何らかの手をうってくるものと思いますが・・・・。
経済に対する不安は中国にとどまりません。アメリカの金融システム不安が再燃していますし、ヨーロッパの景気減速、新興国経済の変化など、ファンダメンタルズに暗雲が漂いはじめています。また、北京オリンピックに合わせるように実施されたロシアのグルジア侵攻に対して、あっという間に、1兆円の外資が逃げ出したといわれています。世界的に投資資金がリスクをとりにくいムードになっているのです。
日本の景気をみても、明らかに後退局面にはいっています。おそらく景気のピークは2008年1月~2月だったと思われます。反面、原油価格はほぼピークアウトしたと思われ、ドルも落ち着きを取り戻しています。ドルの安定は、資源・エネルギー、穀物価格の下押し圧力となるはずです。
円相場は1ドル=110円台になっていますが、これは企業収益にプラスに働きます。
なにしろ、輸出企業の2009円3月期の為替レートは、95円から105円です。現在の為替レートが続くと、新日鉄や住金は3~4割の減益予想ですが、値上げ効果もあり、前期並みの利益を確保できるだろうと予想されます。
さあ、暑さ一服の9月腰を据えてかかりましょう。
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杉村富生 著書紹介
杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員
1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。
■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数
■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他
■その他活動内容
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