人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。
Vol.75 これが世界恐慌の引き金になるのか?
2008年9月22日更新
先週、ついにアメリカ第4位の証券会社、リーマン・ブラザーズが破たんしました。
サブプライムローン関連の証券化ビジネスに踊ったツケが、158年の歴史ある証券会社を破たんに追い込んだのです。
ベアー・スターンズ証券は助けたのに、なぜ今回は助けなかったのか、当局の対応に疑問が残るかもしれません。実のところ、ベアー・スターンズの件はJPモルガン・チェースの救済が目的だったのではないかと考えられます。
かつて“40年証券不況”と言われた日本では、山一證券、大井証券に日銀特別融資を行いましたが、それはバックにいた日本興業銀行支援が狙いだったといわれています。それと同じことが、アメリカでも行われたということでしょうか。
ところで、保険最大手のAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)の経営危機もささやかれていましたが、FRBが約9兆円の融資をすることになりました。
金融危機に発展する可能性があるメガバンクや、国民生活に影響の大きい保険会社は救済するが、基本的にプロが主要参加者の証券会社は助けないということでしょう。
リーマン・ブラザーズに対しては、ポールソン財務長官、バーナンキFRB議長、ガイトイナーNY連銀総裁が30の金融機関の首脳を招集して、その処理について話し合いました。おそらく金融機関首脳から「破たんしても、自社のダメージは軽微」という意思表示があったのだろうと考えられます。
仮に、破たん処理によってメガバンクが深刻な影響を受けるというのであれば、当局はためらうことなく公的資金の注入をしたと思います。
リーマン・ブラザーズが破産法の申請を行った翌日の月曜日は、日本は祝日でしたが世界のマーケットはNY、シンガポール、ロンドンと軒並み株価が下落しました。あけて16日の日本市場も、瞬間1万1651円まで下げて、3月17日のザバラ安値1万1691円を下回りました。
マーケットでは、「世界恐慌だ!」と叫ぶ声も聞かれます。
私が思うに、それはないでしょう。金融危機回避にむけて、手が打たれているからです。公的資金の注入がなかったという事実から考えても、大混乱には至らないと判断するのが妥当ではないかと思われます。
そもそも、材料はあとから貨物列車に乗ってやってくるものです。つまり、株価が暴落したあとに、その理由をくどくど解説してもはじまりません。
とはいうものの、今回の局面は短期的な視点ではなく、長期的な視点が必要だと思われます。
古来「遠きに計るものは富に、近きに計るものは貧す」といわれます。ときには遠いところを見なさいということです。何ヵ月かたって振り返ると、ああ、あのときが、絶好の買い場だったとなるかもしれません。
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杉村富生 著書紹介
杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員
1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。
■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数
■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他
■その他活動内容
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