人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。
Vol.76 金融の整理淘汰・再編が一気にすすむ!
2008年9月29日更新
ついにAIGの解体がはじまるようです。先週9兆円もの緊急支援が実施されましたが、日本のスター生命とエジソン生命は分離して売却する方向で動き始めたようです。この2法人は高収益部門だったので「買い物殺到」の状況になるのではないかと思います。日本生命、住友生命はもちろんのこと、東京海上ホールディングスも食指を動かすことでしょう。ちなみに、アメリカにおける事業はウォーレン・バフェット氏が関心を示しているとか。
リーマン・ブラザーズの北米事業はイギリスのバークレイズが買収しました。バークレイズに三井住友フィナンシャルグループが出資しています。野村ホールディングスは、リーマン・ブラザーズの日本を含む、アジア、太平洋、欧州、中東地域の部門を買収します。ここは年間7000億円の利益を上げていたといわれています。買収金額が238億円プラス2ドルというのは安すぎないだろうかという声もあがっています。
モルガン・スタンレーに対しては、三菱UFJフィナンシャルグループが9000億円を出資して、発行株式の20%を取得します。しかし、FRBの要請とはいえ3日で決断したといわれるだけに、資産査定はこれからです。
このほかにも、ワシントン・ミューチュアルも結局破たんして、JPモルガン・チェースが買収しました。ワコビア、USBなども経営危機に陥っています。これらもまたM&Aのターゲットになることが予想されます。
ということで、日本の金融機関が世界的な金融再編をリードする形になっています。日本勢の存在感が高まるのは喜ばしいことですし、これが飛躍のチャンスであることが疑いないところです。しかし、企業買収は買収してからが大変です。投資銀行にとっては人材こそが命で、一番の財産です。ところが、企業文化の違いから肝心の人材が流出してしまっては、元も子もありません。バブルに沸いた1980年代もM&Aが活発におこなわれましたが、最終的にことごとく失敗しました。今度は、その轍を踏むことがないようにと願うばかりです。
今回の金融危機の原因であるサブプライムローン・ショックは全治3~4年といわれています。しかし、それほどの時間がかかるはずはありません。なにしろ、あのリーマン・ブラザーズがあっという間に解体されたことをみても、それほど悠長に進むはずはありません。
ハイエナは骨まで食いつくすといわれます。世界的な金融業界の再編、整理淘汰は猛烈なスピードで進展することでしょう。
心配は、そのスピードに「政治」がついていけない状況ですが、そのうち追いついてくるのではないかと考えます。
古来パニックは政策の母といわれます。金融危機に際して、パニックに陥るたびに政策対応が強化されてきています。ここは、時を待ちましょう。
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杉村富生 著書紹介
杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員
1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。
■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数
■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他
■その他活動内容
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