兜町10%倶楽部 - 杉村富生

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兜町10%倶楽部


人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。


Vol.77 相場巧者は波乱で富を手にする

2008年10月6日更新
 金融安定化法案が上・下院で可決されましたが、株価はさえません。最後はアメリカ得意の「何でもあり!」の政策総動員、挙国一致体制でなんとかしのぐのではないかと思います。

それにしても、世界の金融市場は大揺れです。一時パニックといってもいい状態になりました。歴史を紐解くと、古今東西の株式巧者といわれている人はパニックのときに断固突っ込み買いを断行していることがわかります。

 日本でいえば、合同証券の社長だった故佐藤和三郎さんです。獅子文六の小説「大番」の主人公「ギューちゃん」のモデルとして知られています。山種証券の創業者、故山崎種二さんと同時代の人物ですが、買いの佐藤に対して、売りの山崎で、人気の面では山種を圧倒していました。佐藤さんは昭和30年、投資信託が出現して大和、山一、日興、野村の4大証券の影響力が強まるのをみて、「もはや個人の裁量で相場を張る時代ではない」と兜町を去ります。「大番」の連載が始まったのが昭和31年ですから、そのときには兜町にはいなかったわけです。その後10年は、箱根の「強羅花壇」でのんびり過ごします。ちなみに、「強羅花壇」は旧宮家の別荘を戦後買収したものです。

 ところが、昭和40年、突然山を下りて兜町に戻ります。この年が「40年証券不況」で、山一証券、大井証券(現在の新光証券)に日銀特融が行われ、7月12日は日経平均株価が1020円の歴史的な安値を付けました。7月27日、政府は戦後初の赤字国債の発行を決意します。これを知った佐藤さんは、兜町に復帰して猛烈な買いを決意したのです。日本郵船など主軸株を軒並み数百万株単位で買いまくったと伝えられています。まさに“バーゲン・ハンティング”で、巨万の富を築きました。

 佐藤さんだけでなく、ウォーレン・バフェットさん、ジョン・テンプルトンさん、ジョセフ・ケネディさん(ケネディ大統領の父)など株式巧者は、押し並べて“バーゲン・ハンティング”を得意として、安いところを断固買って富を得たのです。波乱はチャンスを実践したわけです。
 ジョセフ・ケネディさんは、1927年~28年に持ち株をすべて処分したので、大恐慌の株価暴落を予見した人物として知られています。しかし、1034年以降、ルーズベルト大統領が数々のニューディール政策を実施するのを見て、猛然と買い出動しました。まさにプロの仕事をやって、富を確たるものにしました。

 現在の東京株式市場は売られています。10月3日にはザラ場安値の1万0938円の安値をつけました。PER1倍割れの銘柄が全上場銘柄の6割強に、配当利回りと10年国債利回りが逆転、TOPIXの前年比がマイナス30%のゾーンに突入など異常値が続いています。さらに無借金にもかかわらず、現金・預金(キャッシュ)の残高が時価総額を上回っている銘柄が70近くあり、このうち黒字決算、有配当の会社が半分を占めています。これはどう考えてもおかしい状況です。この異常がこのまま続くはずがなく、どこかで必ず修正が入るはずです。

 「大多数とおなじことをやっていては、すぐれたパフォーマンスが得られない」とは、ジョン・テンプルトンさんの言葉です。波乱のときこそ、勇気が必要なのかもしれません。



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杉村富生 著書紹介



杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員

1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。

■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数

■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他

■その他活動内容
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