人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。
Vol.78 やはり、アメリカ発世界恐慌の始まりか?
2008年10月13日更新
旧暦では10月は「神無月」。本当に神様はいなくなってしまったらしく、株式市場は神頼みもできない状況です。世界の金融市場はサブプライムローン・ショック最終章の大波(パーフェクト・ストーム)に直撃されています。何事も、最後が苦しい!まさに、その通りです。
3月のベアー・スターンズがモルガン・スタンレーに救済合併されたのを皮切りに、9月にはリーマン・ブラザースが破たん、メリルリンチがバンク・オブ・アメリカに買収されることになりました。AIGはアメリカ政府の公的管理下に置かれ、アメリカン・ミューチュアルは破たんして、JPモルガン・チェースに買収されるなど、金融マーケットの有力プレーヤーが次々と退場を余儀なくされています。大きいところも、安心はできないのです。日本だってそうでしょう。大和生命は破たんしましたが、あと数社危ないといわれています。
金融パニックは、アメリカからヨーロッパに飛び火しています。イギリスの中堅銀行のブラシドフォード・アンド・ビングレーは、ノーザン・ロックに続き国有化されました。ベルギー、オランダ、ルクセンブルグの金融大手のフォルテクスも身売りを検討し、ついに国からの公的資金を受け入れ実質国有化されました。
こうした動きを受けてアメリカとヨーロッパ各国は、協調して利下げを実施しましたがマーケットはほとんど反応せず、株価はじりじりと値下がりを続けています。
こうした世界的な動きに対して、特にテレビを中心にコメンテーターに大衆に迎合するようなコメントを言わせています。いわく「公的資金投入は是か非か」という神学論争です。火事がおこり盛んに火が燃えて、隣家に燃え移ろうかというときにはまず火勢を弱めてなんとか延焼を最小限にしようと努力します。現在の金融状況は火事が起こっているのに、延焼の状況を遠くから眺めて消火の方法について延々と論じているようなものです。そのうちに、火事がものすごい勢いで広まり、街全体を焼き尽くすまでその勢いはとまりません。金融危機に際しては、神学論争が最も危険なのです。
現在の状況は、1997年から1998年、そして2002年から2003年の日本とそっくりです。三洋証券、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本再建信用銀行などが相次いで破たんし、「東京発世界恐慌か」といわれました。中小金融機関の破たんも相次ぎ、東邦生命、千代田生命、協栄生命などの名門があっという間に姿を消しました。すべて、“当局”および政府、議会の判断ミスが引き起こしたパニックです。
アメリカが当時の日本の轍を踏まないように、早急で具体的な対策をとることを願うばかりです。
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杉村富生 著書紹介
杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員
1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。
■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数
■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他
■その他活動内容
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