人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。
Vol.79 「もはや恐慌である」とは政治家の言葉とも思えない
2008年10月20日更新
世界の株式市場は、ジェットコースターなみにアップダウンを繰り返しています。そうでなくても、世の中には不安が溢れているというのに、そこへもってきて「もはや、恐慌である」という政治家の発言です。それも日本を代表する総理の発言ですから、困ったものです。実態経済は急速に悪化しているというのに、日本の政治は相変わらず党利党略に明け暮れています。解散の時期がどうのと論じている場合ではない、と思うのです・・・。
この状況を脱するためには、欧米の金融当局が金融危機に際して正しい処方箋を迅速にかつ、ドラスティックに忠実に実行することが必要です。
ところで、恐慌時の底入れ3条件というのがあります。
① 著名な投資家が買い始める
② 証券取引所が閉鎖される
③ 中央銀行が登場する
以上3つなのですが、①に関しては、ウォーレン・バフェット氏がゴールドマン・サックス、GEなどの増資に応じ、実質1兆円超の買い物を入れています。②では、10月8日にロシア、インドネシアの証券取引所が閉鎖されました。③はやはり10月8日に、世界10中央銀行が緊急利下げしました。FRBはFFレートを2.00%→1.50%に、ECBは政策金利を4.25%→3.75%にそれぞれ引き下げました。また、イギリスは大手銀行8行に対して、公的資金を注入します。アメリカも公的資金投入の準備をはじめました。まさに、政策総動員体制が整いつつあります。パニックは政策の母という通り、株価暴落のマーケットの催促がようやく政策当局に届きつつあるといえます。
しかし、ここで安心するのは禁物です。ここからが、地獄の様相となります。ヘッジファンドは日本株を思い切ってショート・カバー(売り仕掛け)をかけています。日経平均株価の先物は、すでに瞬間で8000円の大台を割り込んでいます。現物は、2003年4月28日のバブル崩壊後の安値、7607円を意識する展開になる可能性があります。
まさにパニックです。10月10日、株式先物にサーキット・ブレーカー(一時売買停止措置)が作動しましたが、欧米の売り圧力を日本市場で一手に引き受けている格好となっています。
このところの株価急落は、サブプライムローン・ショックというよりは、投資ファンドの解約売り、信用取引に追証が発生したことによる見切り売りなどが主な原因です。いわゆる、人気、需給(市場センチメント)要因です。このため、ばかばかしいほどの理不尽な株価が出現しています。
たとえば、伊藤忠商事は、業績の下方修正、減配の可能性は少なく、しかもPERが2.9倍、予想配当利回りが4.5%なのに、株価が異常に値下がりしています。昨年7月には1591円の高値だったのに、10月8日には465円という安値、下落率は実に70.8%になっています。これはひどすぎます。
投げ売りの最終局面だとは思いますが、どこが底なのか、設定をどこにするか難しい局面です。ここは、辛抱を胸に、がんばるしかなさそうです。
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杉村富生 著書紹介
杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員
1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。
■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数
■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他
■その他活動内容
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