兜町10%倶楽部 - 杉村富生

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兜町10%倶楽部


人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。


Vol.80 約3000兆円がふっとんだ!

2008年10月27日更新
 世界の株式市場はまさにジェットコースター並みの乱高下が続いています。東京市場は史上最大の上昇率と市場2番目、4番目、5番目の下落率が2~3週間の間に起こりました。これでは、たまったものではありません。これほどの激しい値動きの原因は、外国人の存在です。それでなくとも、市場の参加者が少ないところに、外国人が先物で介入しているのでこのような相場となっているのです。

 株価が下がっているのは日本ばかりではありません。アメリカ、アジア、ヨーロッパとどこの市場も大幅に値下がりしています。世界の株式市場の時価総額は、1年前の63兆ドルから33兆ドルに激減しました。実に30兆ドル(約3300兆円)がふっとんだことになります。これは、世界のGDPの約6割に相当します。マーケットが支払った代償は、とてつもなく大きかったのです。

 これは「逆資産効果」を生み、実体経済に悪影響を及ぼします。景気悪化が加速することになり、市場の関心は景気と企業業績に移ってくるでしょう。こうした状況に歯止めをかけるために、各国協力して政策総動員態勢をとることでしょう。実際にすでにそうなりつつあります。無制限のドル供給、銀行に対する公的資金の注入、問題銀行の国有化、協調利下げ、預金保証の限度額引き上げ、金額保証、当座預金の全額保証、銀行間取引の政府保証など、まさに「何でもあり」の状況です。

 日本では自社株買いのルールの緩和、銀行保有株式取得機構の再発足構想などが打ち出されています。アメリカの場合は、11月4日の大統領選挙と上院下院選挙が、“迷走”の主な要因でしたが、金融システムの崩壊の危機に直面し、政治的な思惑は吹っ飛んでしまいました。共和党のマケイン氏の支持率の急低下は、“経済オンチ”の評価にあると思われます。

 金融危機に際しては、スピィーディかつドラスティックな対応が不可欠です。ところが、「税金を使って銀行を救済するのはけしからん」という、小さな正義を振りかざす連中が必ず登場します。結果的に対応が後手後手に回り、危機を深刻化させる結果となります。とはいっても、政策面の効果だけでは金融危機を短期的に克服するのは不可能です。金融当局の必死の政策対応により、恐慌突入の最悪シナリオは回避されましたが、今後の景気指標がかなり厳しいことには変わりありません。ある程度の時間の経過を見守る必要があります。

 金融危機が実体経済にダメージを与え始めています。ドルやユーロに対して円高が進行し輸出主導の日本経済は影響を免れません。実体経済がどこまで悪化するのか、経過を見る必要があります。



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杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員

1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。

■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数

■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他

■その他活動内容
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