人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。
Vol.81 ひどい相場を乗り切れるか?
2008年11月3日更新
ほんとうに、底が抜けたようなひどい相場でした。10月28日の日経平均株価は瞬間、6994円とバブル崩壊後の安値を大幅に下回るとともに、7000円の大台を割り込んでしまいました。これは、1982年10月の以来の水準です。これでは、善良な投資家がすべていなくなってしまうのではないでしょうか。
ところで、10月24日の日経平均株価は811円安の7649円と暴落しました。下落率は市場5番目の記録です。昨年7月9日の高値1万8261円と比べると下落率は58.1%に達します。ちなみに、戦後19回の調整時の平均下落率は31.1%、バブル崩壊後6回の調整時の平均下落率が43.1%となっており、今回の下落率が崩落相場がいかに厳しいものであったか、十分に理解できると思います。
この崩落相場は、市場センチメント(需給・人気)の悪化に加え、ファンダメンタルズ(景気・企業業績)の先行き懸念、急激な円高に嫌気がさしたものですが、中でも主因は需給悪だろうと思われます。信用取引(買い残)の処分うり、内外ファンドの解約売り、機関投資家のロス・カットのほか、先物、貸株を使った売り仕掛けもあります。
現在、日経平均株価の50年移動平均線は、1万575円の水準にあり、理論的には50年間こつこつと買い続けた人でも、「大やられ」の状況となっているのです。「ばかばかしくて、やっていられない」と思い、投げ売りをする投資家が出てくるのも仕方がないかもしれません。
しかも、ここにきて円高が急激に進行しています。ドルやユーロだけでなく、ブラジルのレアル、オーストラリアドルも急落しています。これらの通貨を組み入れている「ソブリンファンド」は、大変な状況です。一方、円は独歩高になっており、輸出企業の2009年3月期は厳しいものになるでしょう。そろそろ7月~9月期決算の発表が本格化します。三菱UFJフィナンシャルグループの最終純益は半減するのではないかといわれています。メガバンクの含み益も消滅しています。予想外の株式含み損を発表する企業があると思われます。いずれにせよ、この局面では決算発表を待って行動を起こすのが得策だと判断しています。
冷静に考えると、昨年の7月~8月にパリバ・ショックなどサブプライムローン問題が顕在化したときと、まったく逆の展開になっていることがわかります。NYダウは10月9日に1万4164ドルの史上最高値をつけるのですが、9月~10月にかけて欧米の株式市場および実態経済は「なんら問題がない」といわれていたのです。しかし、実際に実体経済がボロボロになり、金融危機が新興国を直撃しています。まさに、「アジアの通貨危機」の世界版を見るようです。これが金融危機の率直な姿なのでしょう。したがって、ここでの追加的な暴落は新たな下げ相場のスタートではなく、ダメ押しの見方が可能です。あわてず、状況を見るしかなさそうです。
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杉村富生 著書紹介
杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員
1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。
■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数
■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他
■その他活動内容
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