人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。
Vol.83 オバマ大統領誕生は日本にとって吉か凶か
2008年11月17日更新
アメリカのバラク・オバマ大統領の誕生が、圧倒的な勝利のうちに決まりました。就任は来年1月20日ですが、金融業界にとってどのような影響を与えるのかを歴史を振り返って検証したいと思います。
現在の状況は、1929年~1934年の大恐慌時に似ていると言われています。当時のアメリカ大統領は、共和党のハーバード・フーバー氏でした。大恐慌は彼の無為無策、政策ミスによってもたらされたものです。サブプライムローン・ショックに始まる今回の金融不安は、共和党のブッシュ政権の対応の遅さというか、やる気のなさがここまで事態を深刻なものにしたということも言われています。これは共和党の伝統なのかもしれません。
バラク・オバマ大統領は、フランクリン・ルーズベルト大統領の考え方を引き継いでいます。恐らく、バーナンキFRB議長の金融政策である利下げ、超金融緩和を支持するとともに、財政出動を決断するものと思われます。大恐慌を株価の面からみると、フーバー大統領からルーズベルト大統領に政権交代したことで底を打ち、反騰態勢に転じました。共和党から民主党に変わったというのは、今回も同じです。
すでにNYダウ、日経平均株価ともに大底を確認したのではないかと考えられます。そもそも10月はめちゃくちゃでした。日経平均株価は10月28日に瞬間ですが、6994円の安値まで売り込まれました。7000円の大台割れは、1982年10月6日以来、26年ぶりのことです。テクニカルアナリストによると、この時点の標準偏差はマイナス4シグマであり、これは約2万5000分の1の確率なのだそうです。年間立会数を250日として計算すると、100年に1度あるかないかの、崩落相場だったということになります。
為替相場も同じです。ユーロの対円相場は10月27日に1ユーロ=131円61銭まで急落しました。7月14日には171円15銭という高値だったことを考えると、わずか3か月で33.6%も下落したことになります。この瞬間風速(前期比変動率)の標準偏差はなんと、マイナス7シグマ、140億年に1度の確率だとアメリカの有力経済誌が伝えています。これはどう考えても異常です。そもそも、太陽系の誕生が約50億年前で、地球上に生物が出現したのが約40億年前といわれています。140億年前には地球そのものが存在しえなかなったわけで、いかに今回がめちゃくちゃだったか分かります。
民主党政権は日本にとっては悪いイメージがあります。クリントン政権下での日本バッシングや、日本パッシングの経験は記憶に新しいところです。しかし、世界の金融状況を考えると、歓迎すべきだと考えます。就任は来年1月20日、それまでの空白期間が心配ではありますが。
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杉村富生 著書紹介
杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員
1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。
■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数
■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他
■その他活動内容
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