人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。
Vol.87 縮み志向の世界・キーワードは節約?
2008年12月15日更新
ここにきて世界的に景況感が急激に悪化しています。まさに、奈落の底に突き落とされたような状況です。アメリカの10~12月期のGDP成長率は、年率4~5%もの落ち込みになるでしょう。恐らくは、来年1~3月期も回復は見込めません。ヨーロッパの景気もボロボロになっており、この影響を日本はもちろんのこと、新興国経済はモロに受けています。
欧米は1年で一番の売上を記録するクリスマス商戦シーズンに突入していますが、消費者の財布のひもが固いせいでしょうか、とんでもないことになっているようです。アメリカの友人から聞いたのですが、新車がなんと1ドルで売られていたというのです。クリスマス商戦の目玉ということですが、こんな状況ではトヨタ自動車が業績の下方修正するのは当然です。
先週、ソニーが正社員も含め世界で1万6000人のリストラをすると発表しました。ソニーのみならず電機、自動車、精密などの輸出関連企業は2009年3月期を底に、V字形の浮上を見込んでいましたが、2010年3月期も大幅減益が避けられない状況になっています。それに円高が追い打ちをかけた形で、一層ひどいダメージを受けています。
こうした状況下、業績を伸ばしている企業もあります。たとえば、ユニクロを展開するファーストリテイリングは、国内の11月販売高は前年比32%増と絶好調です。ABCマートやフランフランを運営するバルスの売上高も順調に拡大しています。いずれも安さが経営の基本であり、このところの節約志向の高調を端的に物語っています。
某電気メーカーの社員の方がこぼしていました。彼はつい最近、社員割引制度を使って、最新鋭のブルーレイを13万円で購入したのだそうです。ところが、出張ででかけたアメリカでがく然としました。同じ商品が1万4000円程度で販売されていたのだそうです。当然、クリスマス商戦の目玉でしょう。ほぼ10分の1で販売されてしまう状況はひどすぎます。アメリカも「安さ」に敏感になっている証拠でしょう。
15年ほど続いた平成不況では、「節約」がキーワードでした。モノの値段が下がり景気がいっそう悪くなるデフレスパイラルが起こりました。アメリカでもデフレの懸念がでているといわれます。消費は美徳と言って、借金をしてものを買っていたアメリカ人が節約志向に走ってしまったら、余計に世界経済は失速することでしょう。「ほしがりません。景気が回復するまでは」と世界中が、節約志向で気持ちが後ろ向きに縮んでしまったとしたら大変なことになります。
日本は政治が混迷しているだけに、自体はより深刻です。もはや、この政権では国難に立ち向かうのは無理なのではないでしょうか。日本は政府が本来の機能を取り戻して、この迷走状態から早く抜け出すことが先決です。
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杉村富生 著書紹介
杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員
1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。
■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数
■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他
■その他活動内容
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