人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。
Vol.96 日本は大丈夫か?G7居眠り疑惑の中川財務大臣
2009年2月16日更新
ローマで行われたG7が終わりました。各国が早期に財政出動を実施するという共同声明がだされましたが、ヘッジファンドの規制などについては言明をさけるなど当初の勢いはそがれた感があります。それにしても、中川財務大臣の眠そうな顔はどうでしょうか。他の国の財務担当者は、びしっと毅然たる態度でインタビューに応じているのに、何を言っているのかわからない答弁とあの顔では・・。日本は大丈夫かと心配になってしまいます。
しかし、今回の金融危機は、100年に1度あるかないかの大津波と形容されるほどで、そう簡単に収束するとは思えません。予想外の巨額の資金と時間を要するのではないかと思われます。そもそも今回の金融危機はサブプライムローンショックが発端であり、グローバルマネーの暴走が引き起こしたものです。これに対してアメリカの過剰消費の調整、住宅バブルの崩壊、およびそのきっかけは新BIS規制の導入にあったと見ることができます。これが信用収縮、逆資産効果、雇用不安を招き、個人消費を急激に浸しているのです。
金融機関の損失の見込み額は膨張の一途を辿っています。当初IMFは金融機関の損失見込み額は2000億ドル程度、バーナンキFRB議長は1500億ドルとその見通しを述べていました。ところが、最近になってIMFは2兆2000億ドル強と発表しており、いかに当初の読みが甘かったかを露呈しています。バンク・オブ・イングランドは欧米金融機関の損失額として2兆9000億ドルとの見通しを明らかにしています。しかし、あえて言いますが、私の独自の試算では損失額は10兆ドル、約1000兆円!と見ています。
これほどの損失をどうするかについては、各国政府、金融当局の迅速かつドラスティックな政策対応が求められます。最終的には新BIS規制の凍結が議論されることになるだろうと思います。どちらにしても資金がまわらない状況では、事情の異なる金融機関を一律に規制するのは無理があると思います。
こうした中で政治が混迷し、何も決まらないのが日本です。テレビ局の調査では麻生総理の支持率がついに10%を切ったという結果がでました。金融危機に際しては、財政赤字を恐れるな、慎重さを捨てよ、がセオリーといわれます。しかし、麻生政権は違います。この局面で消費税論義を持ち出すのは愚の典型です。金融危機克服と景気回復の対策を真っ先にやるべきなのに全く動いていません。IMFに対する1000億ドルの拠出はどう考えてもおかしいですよ。ばらまきをやめ、定額給付金は学校の耐震補強、雇用対策、次世代エネルギー開発など将来的で前向きな施策に使うべきです。何も動かないままに、時間だけが経過するという悠長なことをやっている暇はないのです。
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杉村富生 著書紹介
杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員
1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。
■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数
■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他
■その他活動内容
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