人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。
Vol.98 株式市場の春はまだ遠いのか
2009年3月3日更新
弥生三月を迎え、日差しに春を感じるようになってきました。景気の方は相変わらず低迷していますが、そんな中にもトヨタ自動車が5月にも増産に転じる、あるいはコマツ、パナソニックなどが在庫調整にメドといったコメントを出しています。こうした兆しのせいか、株式市場は日増しに底堅くなっているようです。その上、円安傾向が鮮明になっています。政府の株式買い取り構想が20兆円もあるため、「この局面で売り込むのは怖い」といった気持ちになっているのかもしれません。
たしかに景気、企業業績など実勢悪は一段と厳しさを増しています。08年10~12月期のGDPは前期比年率マイナス12.7%と大きな落ち込みになりました。内外需ともに総崩れの状態です。企業業績はボロボロです。09年3月期は主要企業を中心に300社前後の企業が赤字決算に追い込まれるでしょう。この結果、日経平均株価の予想一株利益は07年夏の時点では961円ありましたが、現在は105円と実に9分の1以下になっています。
この予想一株利益をベースに「PERは70倍だから割高だ」とかPER水準を基に下値のめどを計算すると5000円割れがあるという、アナリストのコメントはナンセンスです。景気後退局面においては、PERなどはあまり意味がありません。未曽有の経済危機の現在は、「数字にこだわらず、言葉に耳を傾ける」が基本です。たとえば03年4月26日の日経平均株価は7607円前後でしたが、予想一株利益がマイナスとなり、PERが算出不能になりました。現在でも同じですが、足元の数字に振り回されず、トレンドやモメンタムを読むことが重要なのです。
ここでいう、「言葉に耳を傾ける」とは、変化の予兆を見逃すなということです。
厳しい相場展開が続き、証券会社の営業はすっかり戦闘意欲を失い、マーケットには無気力感が漂っています。適切かつ迅速な政府対応が求められるときに、日本では支持率10%を切る総理大臣がそのまま政権を担っています。政府が機能していないのですから「やってられない」と投げ出したくなるのも当然と言えるかもしれません。しかし、嘆いてばかりもいられません。人生においてもそうですが、宝くじを買わなければ当たらないですし、春に種をまかなければ秋に収穫はできません。投資の世界でも逃げたら負けます。
「野も山もみな一面に弱きならアホーになりて買いの種をまく!」
今は、これにつきるのです。
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杉村富生 著書紹介
杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員
1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。
■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数
■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他
■その他活動内容
銘柄情報メールマガジン「
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