人生の目的はお金だ!というのは淋しいけれど、やっぱり幅を日利かせているのが、お金。
金が仇の世の中で、いかに迷わず惑わされずに生きていったらいいのか。
経済ジャーナリストの杉村富生さんが、山あり谷ありの人生模様が展開される兜町で、連綿と受け継がれる格言から体得した人生模様をつづるエッセイです。
Vol.113 株式市場は将来の夢を買っているが…?
2009年6月16日更新
兜町には「頭とシッポは猫にやれ!」という格言があります。株価の天底は判断が難しいので、天井で売って底で買うというのは至難の業です。天井を売ろうと思うあまり、早く売ってしまったり、大底を買おうとして仕掛けが早すぎ、その後に一段安といった経験はどなたにもあるのではないでしょうか。このため天井を確認して売る、大底を確認して買うといったアドバイスが生まれるのです。
ところで、どこが天井か、大底かわからないのでは困ります。
テクニカル的には、
(1)天井形成20のパターン
(2)大底形成20のパターン
というのが用意されています。
これを参考に考えるというのが王道です。しかし、予想外の大相場の場合、理外の理というか、チャート破りの相場が展開されます。これは暴落時でも同じです。従ってテクニカル・アプローチだけでなく、ファンダメンタルズ・アプローチ、ジャッジメンタル・アプローチを併用するのが有効です。
株式市場で目下展開されているのは「金融相場」「需給相場」です。すなわち、マーケットは各国政府・金融当局の思い切った政策対応を評価し、いずれ金融危機が克服され、世界景気が回復すると期待しています。また、「上がるはずがない」と思い込んだ売り方(弱気筋)が作った相場との見方もできます。思惑が外れ、買い戻しを迫られた結果の上昇という理屈抜きの需給相場です。
私はこれまで何度となく、
(1)数字にこだわるな
(2)言葉(経営者のコメント、トレンド、方向などの変化の予兆)に耳を傾けよ…
と主張してきましたが、それはこうした状況があるためです。それに「ヘビは足がなくても木に登る」(株価は確たる根拠がなくても上がる)との教えもあります。この結果、株価分析に際して足下のファンダメンタルズよりも将来の夢(よくなるのではないか)のウエイトが高まっているのです。
主体別売買動向で見ると、2008年に4兆5000億円、2009年1月~3月に2兆5000億円買い越し、暴落局面では最大の買い手(外国人売りを吸収)であった信託銀行が4月1日以降売り越しに転じています。信託銀行の売りには公的資金のほか、信託勘定の自社株買いが含まれています。公的資金は株式の一定の組み入れ比率を維持するために、暴落によって低下したシェアの回復を図ったものです。いわゆるリバランスです。これは株価の上昇もあって、ほぼ完了しています。自社株買いは業績の悪化を受けて減少する見通しで、信託銀行の買いには期待できません。
一方外国人は4月、5月と買い越しに転換し、彼らのリスク許容度は高まっています。それにアメリカのMMFの残高は5月末には3兆6000億ドルと史上最高を記録するなど、キャッシュ・ポジションが異常なほど積み上がっています。欧米ファンドの多くが日本株を「アンダーウエイト」にしているといわれます。機関投資家はこのところ「債先売りの株先買い」のポジションを組んでいます。これが金利上昇の一因にもなっていますが、原油価格の上昇にも見られるようにコモディティ市場にも介入しています。こうした局面では「流れ」についていくことが肝要です。
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杉村富生 著書紹介
杉村富生 プロフィール

杉村富生(すぎむらとみお)
経済評論家・日本FP協会正会員
1949年・熊本県生まれ
明治大学卒業
証券専門紙勤務後、1991年独立。
ユニークな市場分析と語り口で、投資家に人気で講演などで活躍中。
日本証券業協会の投資啓蒙セミナーのキャンペーン講師として、幅広い年代層に投資のリスクと必要性を説いている。
■主な著書
「株の仕組み」(日本実業出版)
「規制緩和」(実業の日本社)
「株価は2極化する」(ダイヤモンド社)
「経済ニュースを読みとく本」(実務教育出版)など多数
■主な出演番組
「ファイナンシャルBOX](ラジオ日経)
「株スタ」(ラジオ日経)他
■主な掲載誌
「暮らしと利殖」
「東京スポーツ」
「オール投資」
「経営者界報」他
■その他活動内容
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